家族葬という言葉を、最近はよく聞くようになりました。
「一般的な葬儀より小規模で、費用が抑えられる?」
「家族だけで静かに見送れるのかしら」
そんなイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
私の母も81歳で亡くなった叔母を家族葬で見送りました。
参列したのは、家族や親類だけの6〜7人ほど。
小さな葬儀場の一室で通夜と告別式を行い、身内だけで静かに送りました。
今回は叔母の晩年を支えてきた母が、実際に行った家族葬について、当時の費用や葬儀までの流れ、家族葬をして感じたことをまとめます。
叔母には配偶者も子どももいなかった
叔母は生涯未婚で、子どもはいませんでした。
両親はすでに亡くなり、兄である母の兄も39歳の若さで先に亡くなっています。
叔母自身も高齢になるにつれて病気を患い、一人で暮らすことが難しくなりました。
晩年は施設で生活し、その生活を支えてきたのが母です。
叔母は81歳で施設で亡くなりました。
叔母から生前に「こんな葬儀にしてほしい」「家族葬にしてほしい」といった希望を聞いていたわけではありません。
お墓や納骨についても、特に希望は聞いていませんでした。
そのため、亡くなった後のことは母が考えて決めることになりました。
叔母はもともと交友関係の多い人ではなく、高齢になった頃には付き合いのある人もほとんどいませんでした。
そこで母が選んだのが、家族や親類だけで見送る「家族葬」でした。
費用を安くしたいことが理由ではありません。
叔母の家族構成やこれまでの暮らしを考えると、身内だけで静かに見送る方が叔母には合っている。
母はそう考えたそうです。
「もう間もなくだろう」と連絡を受け、母は葬儀場へ
叔母が亡くなる前日、施設から母に「もう間もなくだと思います」という連絡が入りました。
そこで母は、叔母が亡くなった後のことを考え始めます。
実家の近くで家族葬ができる葬儀場を調べ、実際に葬儀場まで出向いて説明を聞きました。
選んだのは、実家の近くにある家族葬を扱う小さな葬儀社でした。
そこなら、近くに住む親類も行きやすく、県外から来る家族にも分かりやすい。
母は相見積もりを取ったわけではありません。
場所や規模、プランの内容を確認し「ここならいいだろう」と決めました。
そして翌日、叔母が亡くなりました。
施設から葬儀社へ連絡し、叔母を迎えに来てもらいました。
人が亡くなった直後というのは、家族も気持ちの整理がつかないまま、さまざまなことを決めなければなりません。
母の場合、前日に一度葬儀場へ行って話を聞いていたことで、その後は比較的スムーズに進めることができたようです。
喪主は甥。でも準備のほとんどをしたのは母だった
叔母と母は姉妹ですが、母は結婚して実家とは姓が変わっています。
そこで喪主は、先に亡くなっていた母の兄の長男、つまり叔母の甥にお願いしました。
甥は県外に住んでいたため、通夜の当日にこちらへ来て、告別式について簡単な打ち合わせをしました。
ただ、それまでの準備はほとんど母が行っています。
葬儀場を探すこと。
葬儀社から説明を聞くこと。
家族葬のプランを決めること。
身内へ連絡すること。
葬儀が終わった後には菩提寺へ相談し、その後のさまざまな手続きも母が行いました。
喪主になる人と、実際に葬儀の準備をする人が同じとは限りません。
叔母の家族葬では、形式上の喪主は甥でしたが、実際の実務を担ったのはほぼ母でした。
長く叔母を支えてきた母にとっては、その延長に葬儀もあったのだと思います。
参列したのは6〜7人。本当に小さな家族葬だった

叔母の家族葬に参列したのは、家族や親類だけの6〜7人ほどでした。
友人や知人には知らせていません。
香典も辞退しました。
葬儀場自体がそれほど大きくなく、実際に葬儀を行った部屋も小さな部屋でした。
そこで通夜を行い、翌日に告別式。
告別式が終わった後、その日のうちに火葬しました。
本当に、身内だけで静かに見送る葬儀でした。
家族葬にかかった費用は約90万円+会食費など
母は昔から、経験したことや大切なことを細かくノートに記録しています。
叔母の葬儀についても費用を残していました。
母の記録で確認できる範囲では、次のようになっています。
| 内容 | 当時の金額 |
|---|---|
| 葬儀社の家族葬プラン | 約44万円 |
| 火葬料(市の斎場) | 約1万円 |
| 菩提寺への支払い | 約40万円 |
| お車代 | 2万円 |
| お膳料 | 2万円 |
| 会食など | 金額不明 |
| 合計 | 約90万円+会食費など |
葬儀社の約44万円のプランには、祭壇や花なども含まれていました。
施設からの搬送や安置についても、プランの中に含まれており、控え室も用意していただきました。
大きな追加料金が発生した記憶はなく、追加でかかったのは主に会食費くらいでした。
菩提寺への約40万円には読経が含まれています。
戒名についてもこの中に含まれていたと思う、と母は話していますが、戒名料として個別に記載した記録は残っていないため、正確な内訳は分かりません。
これとは別に、お車代2万円、お膳料2万円を支払ったと記録があります。
合計すると、確認できる範囲で約90万円+会食費などです。
その後の初七日、二七日などではその都度お坊様に1万円〜3万円お布施とお膳料を支払った記録があります。
「家族葬」と聞くと、費用が抑えられるイメージを持つかもしれませんが、実際には、葬儀社へ支払う費用だけではありません。
火葬やお寺へのお布施なども含めれば、それなりの金額になります。
一方で叔母の場合は、最初に葬儀社から説明された内容から費用が膨らむこともなく、金額についてはおおむね想定内だったそうです。
家族葬にかかる費用は、葬儀の内容や地域、宗教、参列人数などによっても違います。
だからこそ「家族葬はいくら」と一つの金額だけを見るのではなく、何がプランに含まれ、ほかにどんな費用が必要なのかを確認することが大切なのだと思います。
葬儀費用は叔母自身の預貯金から支払った
叔母の葬儀費用は、母やほかの親族が負担したのではありません。
叔母自身の預貯金から支払いました。
高齢になれば、介護だけでなく、その先には葬儀や納骨などにもお金が必要になります。
家族が手続きを手伝うことと、家族がその費用まで負担することは同じではありません。
叔母の場合も実務を担ったのは母でしたが、費用については叔母本人のお金からです。
誰が手続きをするのか。
誰のお金を使うのか。
元気なうちにある程度分かるようにしておくだけでも、残された家族は判断しやすくなるのではないかと思います。

母は「家族葬にしてよかった」と思っている
母に「家族葬にしてどうだった?」と改めて聞いてみました。
答えはとてもシンプルでした。
「あれでよかったと思う」
叔母のように高齢で交友関係もほとんどなくなっていた場合には、この規模で十分だったと母は感じています。
身内だけで落ち着いて見送ることができました。
費用についても想定外のことはほとんどなく、葬儀社の対応にも満足しています。
母の場合、叔母の葬儀は「家族葬で困った」ということはなかったそうです。
叔母の家族構成や交友関係に、家族葬という形がとても合っていたのでしょう。
だからこそ母は、今でも「叔母には家族葬があっていた」と思っているのだと思います。
最後は両親と同じお墓へ
告別式と火葬が終わった後、母は実家の菩提寺へ相談に行きました。
叔母の納骨先はすでに決まっていました。
先に亡くなっていた両親と同じお墓です。
母は「最後に両親と同じお墓に入れてあげられてよかった」と話しています。
叔母は母にとって、両親や兄が亡くなった後に残った大切な身内でした。
晩年は病気もあり、施設での生活を支えるなど、母には大変なこともたくさんありました。
母は「叔母には自分しかいない」という気持ちで最後まで支えたそうです。
だから葬儀と納骨を終えたときには、悲しさだけではなく「精一杯やった。最後まで送ることができた」という、ほっとした気持ちもあったと話していました。
長く誰かを支えてきた人にとって、葬儀は一つの区切りでもあるのだと思います。
家族葬でも、葬儀が終われば終わりではなかった
そして叔母を見送っても、母のすることは終わりませんでした。
- 年金
- 健康保険
- 銀行口座
- 公共料金
- 相続に関すること
さらにその後には、叔母が暮らしていた実家の整理も残っていました。
叔母に関するこうした手続きも、ほとんど母が行いました。
人が亡くなった後には、葬儀以外にもたくさんのことがあります。
家族葬は参列者が少なく、葬儀そのものは小規模でした。
それでも、残された人が行う手続きまで小さくなるわけではありません。
叔母が亡くなった後に母が経験した実家の片付けについては、別の記事にも詳しく書いています。

叔母を見送った母は、自分も家族葬を希望している
叔母を家族葬で見送った母自身も、現在は80代です。
そんな母も「自分のときも家族葬でいい」と私たちに話しています。
そして葬儀だけではなく、亡くなった後の希望についても少しずつ伝えてくれています。
現在は、遺骨の一部を高野山へ納めてほしいという希望も聞いています。

叔母の場合は、本人から葬儀や納骨について具体的な希望を聞いていませんでした。
一方、母は自分がさまざまな経験をしてきたこともあり、自分の希望を普段から私たち子どもに伝えてくれます。
私は、それはとてもありがたいことだと思っています。
いざというとき「お母さんはどうしたかったんだろう」と、残された家族が一から考えなくて済むからです。
本人の希望を聞いておくことは、本人のためだけではありません。
残された家族が迷ったり、後悔したりしないためでもあるのだと思います。
大切なのは「家族葬か一般葬か」ではない
叔母の場合、家族葬で6〜7人という小さな葬儀でしたが、すべての人に家族葬が向いているとは限りません。
家族構成、交友関係、宗教についての考え方も違います。
大切なのは、「家族葬と一般葬のどちらがいいか」ではなく、自分はどんなふうに送ってほしいのかを考えておくことだと思います。
私自身も、「自分はどうしてほしいのか」をいつか家族に伝えておかなければと思います。
葬儀は人生の最後を飾るためだけのものではなく、残された大切な人たちと最後のお別れをする時間。
叔母の家族葬を通して、私はそんなふうに感じています。
