子どもの成長と独立は、親にとって大きな節目です。
学校を卒業し、就職し、自分の生活を始めていく。
ここまで来たことへのうれしさがある一方で、長く続いてきた暮らしが大きく変わる時期でもあります。
家計にも変化があります。
塾代、授業料、受験費用、通学費、仕送りなど、長年大きな割合を占めていた教育費に、ようやく区切りがつきます。
私自身、当時は子どもの教育費がかなり家計を圧迫していました。
下の子どもの教育費にも終わりが見えてきた頃、私はふと思いました。
「ここからは、経済的にも、自分の人生についても、“これから”を考えよう」
これまで家族のために使ってきた時間とお金を、これからは少しずつ自分のためにも使っていこう。
私にとって、子どもの独立はそんなふうに人生の向きを変え始めた時期でもありました。
子どもの独立は、家計だけでなく人生の節目になる
子どもが小さい頃から、親の生活にはいつも子どもの予定があります。
保育園や学校、習い事、部活動、受験、進学。
成長すれば必要なお金も大きくなっていきます。
教育費については、「ここまでは用意しよう」「あと何年頑張ればいい」と、一つの大きな家計目標として考えている家庭も多いのではないでしょうか。
ところが、その目標がなくなると、家計にも時間にも空白が生まれます。
これは悪い意味ではありません。
むしろ、「これから何にお金を使い、どんなふうに生きたいのか」を考え直せるタイミングなのだと思います。
私自身も、下の子どもの教育費が終わりに近づいた頃から、自分のこれからについて強く考えるようになりました。
教育費の終わりが見えたとき、「ここからは自分の人生を考えよう」と決めた
当時、教育費は家計にとってかなり大きな負担でした。
もちろん、子どものために必要だと思って使ってきたお金です。
それを後悔しているわけではありません。
でも、下の子どもの教育費にもようやく終わりが見えてきたとき、私は一つの区切りを感じました。
「ここからは、自分のこれからについて考えよう」
そう思いました。
これまで家族のために使ってきた時間とお金を、これからは自分の人生にも使っていく。
そんなふうに考えることを、身勝手だと感じる人もいるかもしれません。
でも私は、自分の人生を誰かのせいにはしたくありませんでした。
「本当はこんなことをしたかったのに」
「家族のために自分を犠牲にしてきた」
いつか振り返ったときに、そんなふうには思いたくなかったのです。
子育ても仕事も、そのときの自分が考え、選んできたこと。
だからこれから先も、「自分で選んだ人生だった」と思えるように生きたい。
私はそう考えるようになりました。
お金は目的ではなく、自分で人生を選ぶための手段

では、自分の人生を自分で選ぶために何が必要だろう。
そう考えたとき、私にとって大きかったのがお金でした。
もちろん、お金があれば何でもできるわけではありません。
でも、お金があることで増える選択肢はあります。
働き方を変える。
住む場所を変える。
新しいことを学ぶ。
旅をする。
何かあったときに、いったん立ち止まる。
誰かに経済的に頼らず、自分で選ぶ。
そうした選択肢を持つために、お金は大きな土台になります。
私にとって、お金は目的ではありません。
自由に生きるための手段です。
そこから私は、お金や経済について本気で勉強するようになりました。
約10年前のことです。
30代の頃にも株式投資を少しかじったことはありましたが、その頃は子育てと仕事に追われ、本格的に続けるところまではいきませんでした。
今度は一から学び直そうと思いました。
投資のことだけではありません。
家計をどう管理するか。
どう貯めるか。
どう守るか。
どう増やすか。
そして最後に、育てた資産をどう使っていくのか。
勉強を続けるほど、お金は「投資で増やすこと」だけではないと感じるようになりました。
貯める・守る・育てる・使う。
その全部を考えることが、お金について考えることなのだと思っています。
教育費が終わっても、お金は自然には残らない
教育費や仕送りが終われば、その分だけ毎月のお金に余裕ができるように見えます。
でも、そのお金が自動的に貯まるわけではありません。
これまで「教育費」という明確な行き先があったお金から、目的がなくなるからです。
生活口座にそのまま残していれば、いつの間にか日々の支出に混ざっていくこともあります。
それ自体が悪いわけではありません。
長い間、子どもの教育費を優先してきたのですから、自分のために使うお金が増えてもいいと思います。
大切なのは、「何となくなくなった」ではなく、自分で使い道を決めること。
教育費の終了は、家計を小さくするためではなく、お金の行き先を選び直す機会でもあります。
まずは「これから出ていかなくなるお金」を確認する
教育費が終わったとき、まず確認したいのは、これまで子どものために出ていたお金のうち、今後なくなるものは何かということです。
授業料や仕送りのように分かりやすい支出だけではありません。
通学費、教材費、携帯電話代、保険料、日用品など、子どもの独立によって負担が変わるものもあります。
すべてを細かく計算する必要はありません。
「毎月これくらい」「年間ならこれくらい」と把握するだけでも、お金の次の行き先を考えやすくなります。
そのお金を全部貯める必要も、全部投資する必要もありません。
私は、その次を大きく「守る・育てる・使う」に分けて考えるとわかりやすいと思っています。
教育費の次のお金は「守る・育てる・使う」
守るお金
まずは、何かあったときのための現金です。
収入が減ったとき。
病気やけがをしたとき。
予定外の大きな支出があったとき。
すぐに使えるお金があることは、生活だけでなく、自分で次の選択を考えるための余裕にもなります。
私は生活防衛資金を、自分の生活を守る大切なお金として考えています。

育てるお金
次に、すぐには使わない将来のためのお金です。
私は教育費の終わりが見えた頃から、お金について本格的に学び直し、投資も続けてきました。
現在はインデックス投資だけでなく、高配当・増配株なども組み合わせています。
ただ、これは誰にでも同じ方法をすすめたいという意味ではありません。
大切なのは、自分がいつ使うお金なのか、何のために育てるのかを考えることだと思っています。

使うお金
そして忘れたくないのが、「今の自分に使うお金」です。
旅行をする。
趣味を楽しむ。
友人と出かける。
学びたいことを学ぶ。
健康のためにお金を使う。
子どもの教育費が終わったのに、その分を全部老後のために我慢していたら、今度は「老後資金を作ること」だけが人生の目的になってしまいます。
私は、お金は貯めたり育てたりするのと同じくらい、どう使うかを考えることも大切だと思っています。
今の自分と未来の自分。
どちらか一方ではなく、両方のために使っていいのではないでしょうか。
独立した子どもへの援助は、自分のこれからを守ったうえで
子どもが独立したからといって、親がお金を出す場面がすべてなくなるわけではありません。
結婚、住まい、孫のことなど、「できることなら助けてあげたい」と思う場面はこれからもあるでしょう。
私も、子どもにお金を使うこと自体がいけないとは思いません。
ただ、「出せるか」だけではなく、「自分のこれからを守ったうえで出せるか」を考えることは大切です。
親自身の老後のお金までなくなれば、将来は逆に子どもへ経済的な負担をかけることになるかもしれません。
子どものことを大切に思うことと、自分のこれからのお金を守ることは、どちらか一方ではないと思っています。
お金と一緒に、自分の時間の使い方も組み替える
子どもの独立によって変わるのは、お金だけではありません。
時間の使い方も変わります。
これまで子どもの予定を中心に動いていた時間の一部を、これからは自分で選べるようになります。
何をするかは、人それぞれです。
仕事を続けてもいい。
新しいことを学んでもいい。
友人と出かけてもいい。
一人で旅をしてもいい。
趣味を始めてもいい。
何もしない時間を楽しんでもいい。
「これから何をしたいんだろう」
すぐに答えが出なくてもいいと思います。
私自身も、子どもの独立を境に人生のすべてが突然決まったわけではありません。
ただ、「ここからは自分の人生について、自分で考えていこう」と決めた。
そのことは私の中で大きかったと思います。
まとめ|これからは、自分の人生にもお金と時間を使う
子どもの独立は、大きな家計の変化です。
長く続いた教育費に区切りがつき、それまで子どものために使っていたお金の行き先が変わります。
でも、私にとってそれ以上に大きかったのは、自分のこれからを考え始めたことでした。
教育費の終わりが見えた頃、「ここからは、自分の人生にもお金と時間を使おう」と決めました。
そして、自由に生きるためにはお金について知る必要があると思い、本気で勉強を始めました。
その勉強は、投資でお金を増やすことだけではありませんでした。
- 貯めること
- 守ること
- 育てること
- 使うこと
- そして、自分は何のためにお金を持つのかを考えること
今の私にとって、お金は人生の目的ではありません。
自分の人生を自分で選ぶための手段です。
家族のために過ごしてきた時間を後悔する必要もありません。
でも、これから先までずっと、自分のことを後回しにする必要もないと思います。
子どもの独立は、子どもが自分の人生を歩き始めるとき。
そして親にとっても、「これから自分はどう生きたいのか」を、もう一度考え始めるときなのかもしれません。
これまで家族のために使ってきたお金と時間を、これからは少しずつ自分のためにも使う。
将来を守るためにも。
今を楽しむためにも。
その両方を、自分で選んでいきたいと思っています。
