元気な親にも「まさか」はある|迷子・骨折から考えた、先回りの見守り

離れて暮らす親と毎日連絡を取っていても、何気ない会話の中で「あれ?」と思う瞬間があります。

前回の記事では、わたしが続けている見守りの習慣、——毎日のLINEと週1回の電話——についてお話ししました。
その会話の中で、母の小さな変化に気づくことがあります。

今回お伝えしたいのは、そこから一歩進んだ話です。
元気に暮らしている母にも、実は「まさか」と思う出来事がありました。
そして、それをきっかけに、わたしは「いつか」を先回りして考えるようになりました。

読み終わる頃には、「元気な今だからこそ、できる備えがある」と、前向きに思えるはずです。

目次

元気な母にも、「まさか」は起きた

わたしの母は80代の今も、すこぶる元気です。
毎日ウォーキングを日課にし、できることは自分でやろうとする人です。

それでも、こんなことがありました。

散歩の途中で、道に迷った

もともと母は、少し方向音痴なところがあります。

ある天気のいい日、いつもの散歩コースから足をのばして、ちょっと遠くまで歩いたそうです。
すると、「帰り道がわからなくなってしまった」「迷っているうちに疲れ果ててしまった」と後から話してくれました。

認知症というわけではありません。
でも、高齢になるとこういうこともあるのだと、改めて気づかされました。

「携帯は持っていたのよね?」と聞くと、持っていたと言います。
地図アプリも入っています。でも、高齢の親にとっては、その地図アプリ自体をうまく使えないこともあるのです。
実は私も地図アプリが苦手です…

2年前、骨折で入院した

もうひとつ。2年前のことです。

母は、高いところの物を取ろうとして台にのぼり、落ちて腰の骨を折ってしまいました。
それまで入院したこともないほど健康だった母だったので、とても心配しました。

幸い、回復は早く、今ではすっかり元どおりの元気な母に戻っています。
でもこの出来事も、「元気な人でも、ある日突然、こういうことが起こる」と教えてくれました。

元気でも、”まさか”はあるんだね…

そう。だからこそ、元気な今のうちに考えておきたいことがあるの

本当は、あまり考えたくないこと

正直に言うと、親の「いつか」を考えるのは、あまり気が進みません。

子どもにとって親は、いつまでも元気でいるような気がしてしまうものです。
そして、ずっと元気でいてほしいと願うほど、この先に起こりうることを、つい考えないようにしてしまう。

親が年をとっていくことには、なんとも言えない寂しさがあります。
でも、その気持ちから目をそらしたままでいると、いざというときに慌ててしまいます。
だからわたしは、「いつか」と「まさか」に向き合うようにしています。

だから、「いつか」を先回りして考える

こうした出来事があってから、わたしは母との会話の中で「いつか」を思い描くようになりました。

今は元気でも、いつか買い物に行くのがしんどくなる日が来るかもしれない。
料理をするのが億劫になる日が来るかもしれない。
そう考えて、その時々で何ができるかを、少しずつ調べたり、試したりしています。

母のために実際にしたこと

買い物の負担を減らすため、カートを贈った

母が腰の骨を折って退院した後、買い物の荷物を少しでも楽に運べるように、手引きタイプの買い物カートを贈りました。
これは歩行を支えるシルバーカーではなく、買ったものを入れて引いて運ぶためのカートです。

選ぶときに重視したのは、次の点でした。

  • 本体そのものが軽いこと
  • カート本体と、荷物を入れる袋の部分を取り外せること
  • タイヤが軽く回り、引っ張りやすいこと
  • 店内の買い物カートに引っ掛けて運ぶことができること

カート自体が重いと、かえって母の負担になってしまいます。
店内や玄関先でも扱いやすいように、できるだけ軽く、動かしやすいものを選びました。

退院後、まだ体に不安があった時期には、母もこのカートを使って買い物へ行っていました。
実際に使ってみて、「荷物を持たなくていいから楽になった」と言っていました。

今では腰も回復し、徒歩だけでなく、自転車でも買い物へ行くようになりました。
そのため、徒歩で出かけるときにはカートを使い、自転車で行くときには使っていません。
ずっと同じ道具を使い続ける必要はなく、そのときの体調や移動手段に合わせて使い分ければよいのだと思います。

買い物カートを贈ったことで、将来のために一方的に準備をするのではなく、
母の今の状態に合うものを、その都度一緒に考えることが大切だと感じました。

今後に備えて調べている選択肢

買い物がもっと大変になってきたら

食材の宅配サービスという手もあります。
重いものを家まで届けてもらえるだけで、負担はぐっと軽くなります。

料理が億劫になったら

毎日の料理も、いつかは負担に感じる日が来るかもしれません。

今は、栄養に配慮したお弁当の配達サービスもあります。
「無理して作らなくてもいい」という選択肢を、元気なうちから知っておくだけでも気持ちがラクになります。

また道に迷ったら|家での見守り

迷子の心配には、GPSという選択肢があります。
持ち物や衣類につけておけば、居場所を確認できます。

家の中での様子が気になるなら、部屋に設置できる見守りセンサーもあります。
調べてみると、生活の動きを本人の負担にならないように、そっと確認できる仕組みがいろいろありました。

全部を今すぐやる必要はなくて、その時々でできることを選んでいけばいいと思っています。

元気な今だから、できること

先回りといっても、大げさな準備をするわけではありません。

たとえば、母が骨折から回復して元気に歩けるようになったとき、わたしは「まだ自転車に乗るのはやめてね」と伝えました。
転んでしまったら、また大きなけがにつながりかねないからです。

こうして、その時々の母の状態を見ながら「今できること」「今は控えたほうがいいこと」を、一緒に考えていく。
それが、元気な今だからこそできる見守りだと思っています。

まとめ|先回りは、不安からではなく、前向きな備え

親の「まさか」や「いつか」を考えるのは、不安だからだけではありません。
むしろ、元気な今のうちに知っておくことで、いざというときに慌てずにすむからです。

  • 元気な親でも、迷子や骨折といった「まさか」は起こる
  • いつか買い物や料理が大変になる日」を、先回りして考えておく
  • 手引きカート・宅配・お弁当配達・GPS・見守りセンサーなど、選択肢はいろいろある
  • 全部を今すぐやらなくていい。その時々で、できることを選ぶ
  • 元気な今だからこそ、親と一緒に考えられる

まずは、次に親と話すときに「最近、重い買い物は大変じゃない?」と聞いてみることから始めてみませんか。
何気ない一言が、先回りの第一歩になります。

今は買い物カートだけで足りていても、将来、宅配や配食、見守りサービスを利用するようになれば、継続的な費用がかかります。
「必要になってから考える」のではなく、どんなサービスがあり、親はどの程度負担できるのかを、元気なうちに一緒に確認しておくことも「いつか」の備えのひとつです。

この記事を書いた人

「ひとりだちノート」運営|元銀行員。
 
家計・資産づくり、親の見守りや暮らしのサポートを実体験から発信。
自分と親の「これから」を少し安心にするヒントをお届けします。

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