「50代から高配当株を始めるのは、もう遅いでしょうか」
投資の記事は、若い人に向けたものが多いですよね。
「30年かけてコツコツ」と言われると、50代の自分は乗り遅れた気がしてしまう。
その気持ちは、よく分かります。
正直にお伝えすると、私自身は「遅い」とは思いませんでした。
私が米国の高配当ETF(配当を出す会社の株を、たくさんまとめて持てる商品)を持ち始めたのは50歳のときです。
日本の高配当株を買い始めたのは55歳でした。
ただ、この記事でお伝えしたいのは「遅くないですよ」という励ましではありません。
もっと手前にある、大事な問いです。
「遅いかどうか」より、大事なこと
先に、私の結論をお伝えします。
50代は、「増やす」から「受け取る」への切り替えを考え始めるのにちょうどいい時期です。
高配当株は、その切り替えの手段のひとつになります。
高配当株投資とは、配当(会社が利益の一部を株主に分けてくれるお金)を多めに出す株を持ち、定期的に配当を受け取っていく方法です。
「遅いですか?」という問いに、私は「遅くありません」と答えます。
でも、もっと大事なのは始める時期ではなく、何のために持つのかだと思っています。
私が「増やすだけ」をやめようと思った理由
はっきり書いておきます。
資産を増やすことだけが目的なら、私は今でもインデックス投資がいちばん合理的だと思っています。
インデックス投資とは、市場全体にまとめて投資する方法で、少ない手間で世界の成長を取り込める、とても理にかなったやり方です。私自身、資産を増やす部分は今もインデックスが中心です。
では、なぜ高配当株を加えたのか。
あるとき、ふと考えたのです。このまま高齢になっても、際限なくお金を増やし続ける必要があるんだろうか、と。
使いきれないお金を増やすために、限りある時間と気持ちを使い続けるのは、もしかしたら本末転倒かもしれない。
そう思ったとき、私の中で「増やす」一辺倒だった軸が、少し動きました。
お金は、やりたいことのためにある
私には、これからやりたいことがたくさんあります。家族や友人と出かけたい。まだ見ぬ場所へ旅もしたい。
おいしいものを食べて、趣味の時間を楽しんで、大切な人には贈り物もしたい。
60代になっても、70代になっても、その気持ちは減るどころか、むしろ増えていく気がしています。
だからこそ、お金は「増やして終わり」ではないと思うのです。
増やしたお金を、やりたいことのためにちゃんと使えてこそ、意味があります。
通帳の数字が増えていくのを眺めるより、その数字が誰かとの時間や、心が動く経験に変わるほうが、私はずっと豊かだと思います。
増やすことと同じくらい、使うことを楽しみに待てる。
そういうお金の持ち方をしたい、と考えるようになりました。
配当は、その「やりたいこと」を、暮らしの中で少しずつ支えてくれます。
元本を大きく崩さずに受け取れるので、「使ってしまったら終わり」という不安がやわらぐのです。

お金って、貯めることがゴールじゃないんだね。
「取り崩す不安」という、見落とされがちな問題
増やした資産は、老後にどう使うのでしょうか。
よく知られた考え方に、貯めた資産を毎年少しずつ取り崩していく方法があります。
たとえば「1年に資産の4%ずつ使う」といった目安が、よく紹介されます。
過去のデータをもとにした目安で、あくまで一つの考え方です(相場の状況によっては、うまくいかないこともあります)。
でも、私はここで立ち止まりました。人の寿命は、誰にも分かりません。
90歳まで生きるのか、100歳まで生きるのか。それが分からないまま、通帳の残高が年々減っていくのを見続けるのは、想像以上に不安なのではないか。
お金があっても、減っていく数字を見て心細くなるなら、それは安心とは言えません。
長生きは幸せなことのはずなのに、「長生きすると資産が尽きるかも」という不安がついて回る。
この矛盾を、なんとかしたいと思いました。
だから私は、一部を「受け取る」形に替えました
そこで私は、インデックスで増やした資産の一部を売って、高配当の投資に移すことにしました。
理由はシンプルです。元本(もとのお金)をできるだけ取り崩さずに、配当というかたちでお金を受け取れるからです。
年金だけでは足りない分を配当で補う。そういう設計です。
ここで、正直に書いておかなければならないことがあります。
高配当株も、株価が下がれば資産の評価額は減ります。
会社の業績が悪くなれば、配当そのものが減ること(減配といいます)もあります。
これはインデックス投資も同じで、暴落のときには3〜4割下がることも珍しくありません。
投資とは、そうしたリスクを受け止めたうえで行うものです。
配当は「絶対に減らない安全なお金」ではなく、あくまで「元本をできるだけ残しながら受け取っていく、ひとつの方法」です。ここを勘違いすると、危ないと思っています。



投資っていいことばっかりじゃないんだね。
それでも私が配当という形を選んだのには、もうひとつ理由があります。
配当が振り込まれると、金額の大きさよりも「お金が入ってきた」という事実に、ふっと安心するのです。
資産の評価額が上がった下がったで一喜一憂するのとは、少し違う手ざわりの安心感があります。
増やすための投資と、安心するための投資は、似ているようで少し違うのかもしれません。
私は、その両方を持っておきたいと思いました。
大事なのは、「いくら必要か」から逆算すること
ひとつ、お断りしておくと高配当株を持つ理由は、人それぞれです。
「高配当株を始める=老後資金が足りない」ではありません。
配当を受け取り、暮らしの潤いや楽しみのために使うという人もいます。
そのうえで、老後資金の補いを目的にするなら、いちばん最初にやったほうがいいのは、銘柄選びではありません。
自分に、いくら足りないのかを知ることです。



ぼく、いきなり株を選ぶのかと思ってた。
私の場合は、始め、こう考えました。
65歳から年金生活に入ったとき、毎月の収入と支出はどうなるか。
年金だけでは、いくら足りなくなりそうか。
その足りない金額を、配当で補うことを目標にしました。
たとえば「月に10万円足りない」と分かれば、年間で120万円。
その配当を得るには、利回り何%で、いくら投資すればいいのかが見えてきます。
ゴールが数字になると、やることがはっきりします。
この「いくら足りないか」を出す作業には、キャッシュフロー表(将来のお金の流れを書き出す表)が役立ちます。
作り方は、こちらの記事でくわしくお話ししています。


年齢によって、お金の置き方は変えていい
もうひとつ、お伝えしたいことがあります。
50代の今、60歳のとき、65歳で年金生活に入ったとき、それぞれお金の置き方は違って当然です。
増やすことに重きを置く時期もあれば、受け取ることを厚くする時期もある。
私も、これから年齢に合わせて、少しずつ配分を見直していくつもりです。
投資の世界では、こうした配分の調整を「リアロケーション」と呼びます。難しく考えなくて大丈夫。
人生の段階が変われば、お金の役割も変わる、というだけのことです。
だから「50代の今、完璧な形を作らなければ」と気負う必要はありません。
今の自分に合った形から始めて、これからも変えていけばいいのです。
50代から始める、あなたへ
最後に、正直な気持ちを書きます。
高配当投資について、私は「もう少し早く、小さくてもいいから始めておけばよかったかな」とは思いました。
配当は、時間をかけてゆっくり育っていくものだからです。
でも、だからといって「遅かった」とは思っていません。
始めようと思った今が、その人にとっていちばん早いタイミングだからです。
大切なのは、焦って大きなお金を一度に投じないこと。
まず生活防衛資金(急な出費に備える現金)を確保して、余裕のあるお金で、少しずつ。
50代は、若いころのように無理をして取り返す時期ではありません。
慎重に進められることは、50代の弱みではなく、強みです。
お金は、「使う」まで考えて、ひとまわり
最後に、私がお金について思っていることを書かせてください。
お金の勉強というと、「貯める」「増やす」に目が向きがちです。そこに「守る」を加える人もいるでしょう。
でも私は、それと同じくらい「使う」を考えることが大切だと思っています。
際限なく貯めて増やすのではなく、貯めて増やしたお金を、いつ、何のために使うのか。
投資でいえば、どうやって受け取り、どこで出口をつくるのか。
そこまで考えて、お金の勉強はようやくひとまわりするのだと思います。



貯めて、増やして、守って、使う。ぜんぶ大事なんだね。
使い方は、人それぞれです。
私の場合は、まず誰にも迷惑をかけず、自分の足で立てるだけのお金を用意すること。
そのうえで、大切な人と過ごす時間や、好きなことのために使うこと。
高配当株から受け取る配当は、その「使う」を支えてくれる、私にとっての心強い味方です。
私はこれからも、やりたいことがたくさんあります。
だからお金は、不安に備えるためだけのものではなく、これからの毎日を楽しむための力でありたい。
高配当株は、私にとってそのための一つの選択でした。
あなたにとっての答えは、あなたの「やりたいこと」の中にあると思います。
まとめ
- 「50代から高配当株は遅いか」よりも、何のために持つのかを考えたい
- 資産は増やすだけが目的ではない。「増やす」から「受け取る」への切り替えを考える時期
- お金は、貯める・増やす・守るだけでなく、やりたいことのために「使う」まで考えて一周する
- 配当は、元本をできるだけ残しながら受け取るひとつの方法。ただし株価変動・減配のリスクはある
- まずいくら足りないかを出し、そこから逆算する
- 配分は年齢に合わせて変えていい。今、完璧を目指さなくていい



お金を増やすって、ゴールじゃなくて道具なんだね。
今日できる小さな一歩は、「自分は老後、毎月いくら足りなそうか」を、ざっくりでいいので考えてみることです。
その金額が見えると、投資は「なんとなく不安だからやる」ものではなく、「この目標のためにやる」ものに変わります。
具体的な高配当株の始め方は、こちらでお話ししています。


※この記事は、私自身の考えと経験をもとに書いています。特定の商品や投資を勧めるものではありません。
投資は元本が保証されるものではなく、最終的な判断はご自身の状況に合わせて行ってください。必要に応じて、独立系のファイナンシャルプランナーなど専門家にもご相談ください。


